季刊誌「お元気ですか」67号インデックス
※文中の肩書は取材当時のものです。
良い睡眠を得るために
平成12年度に厚生労働省が実施した保健福祉動向調査では、日本人の3割は、睡眠が不足していると報告しています。
睡眠による健康への影響
睡眠不足は、疲労感をもたらし、情緒を不安定にし、適切な判断を鈍らせるとともに、心の病気の一症状として表れることもあります。さらに最近では、睡眠不足は副腎皮質ホルモンの分泌のバランスを崩し、内分泌系や免疫系にも影響を与え、肥満や高血圧、糖尿病の悪化、ウィルスに対する抵抗力を下げる原因になっていることがわかってきました。
より良い睡眠のために
夜寝る前には、副交感神経が優位になり、脳の松果体では、メラトニンという睡眠物質がつくられます。このメラトニンが眠気を生み出し、深い睡眠を促す体制が整います。
しかし、夜遅くまで精神的に興奮した状態では、交感神経が優位になって、メラトニンが作られず、眠りの体制が整いません。就寝前の1~2時間は、できるだけ副交感神経が優位になるようリラックスした状態で過ごしたいものです。
自分なりのリラックス法を持ちましょう
静かな音楽を聴くことや、軽い書物を読むなどもよいでしょう。軽いストレッチも効果的です。最近、若い女性にはアロマテラピーなどを楽しむ方も増えています。催眠効果のあるラベンダーや鎮静効果のあるカモミールなどの香りによって気分をリラックスさせるようです。また40度以下のぬるめのお風呂に入るのもお勧めです。
これらは、副交感神経を優位にして、心身をリラックスさせ、からだの表面の血管を拡張させて深部体温を下げ、深い眠りを促します。
就寝前の照明は柔らかい色にしましょう
寝る直前にコンビニエンスストアなどの明るい照明の中に長時間いると、体内時計が「昼が続いている」と感じて、睡眠リズムが乱れてしまいます。就寝前の照明は、白色蛍光灯よりだいだい色を帯びた蛍光灯や電球のほうが好ましいようです。就寝間のテレビやパソコンなどの強い光も寝つきを悪くします。就寝1~2時間前には切り上げましょう。
カフェイン、タバコ、アルコールについて
コーヒー、ウーロン茶、ココアなどに含まれるカフェインは、強い覚醒作用を持つ物質です。良い睡眠のためには、夕方以降の摂取は避けるほうが良いでしょう。
同じく覚醒作用を持つ物質としては、タバコに含まれるニコチンもあります。寝タバコは深い睡眠を妨げます。また、アルコールも、適量飲むのはリラックス効果がありますが、眠る目的で、アルコールを飲むのは禁物です。寝つきは良いかもしれませんが、深い眠りが減るなど睡眠の質が悪くなります。また利尿作用もあるので、夜間にトイレに起きるなど睡眠が妨害されますので気をつけましょう。
以上のように、良い睡眠のためには、環境などを整えることが大切です。しかし、不眠の原因には、ストレスからくるうつ病などの気分障害、神経症や精神疾患、脳血管障害、睡眠時無呼吸症候群などの疾病の場合もあります。そのような状況が疑われるときは、早めに医師に相談することが重要です。
現在は、副作用の少ない睡眠薬もあります。現代のやむをえない生活リズムでは、睡眠薬を上手に利用することも時には必要でしょう。
不眠に効果のある市販の薬は、抗ヒスタミン薬などで、長期間利用するのは良くありません。不眠症状が続くときは、環境を整えるとともに、一度医師に相談することをお勧めします。
(保健師 田中 博子)
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