春日クリニック医局長
坂本 夏子
胃がんは、日本人では最も罹患率の高いがんですが、その死亡率は減少傾向にあります。
胃がんは「治すことができるがん」と言われており、そのためには早期発見が重要です。
消化器というのは、食道から胃、十二指腸、小腸そして大腸といった、食べ物が口から入り、消化されるまでの通り道の部分と、肝臓や膵臓、胆嚢などの、消化液を分泌したり、栄養素を抽出したりする臓器の、大きく二つに分けられます。
そのうち、肝臓や膵臓、胆嚢といった臓器については超音波による検査になり、食道、胃、十二指腸、大腸などは、バリウム検査や内視鏡検査が中心になります。バリウム検査よりも、内視鏡検査の方がより小さな病変を発見することが出来るので、胃がんの早期発見に関していえば、内視鏡による検査の方が優れているといえます。
ピロリ菌が胃がんを招く
日本人のがんの罹患率の中では、胃がんが最も多くなっています。これは日本人が、昔から塩辛い味付けの食事を好み、胃に刺激を与えてしまうためだと言われることもあります。しかし、もっとも大きな背景として、ピロリ菌の存在があります。日本人は、世界の他の先進国と比べてもピロリ菌の感染者が多く、とくに50代から70代の人は注意が必要です。
ピロリ菌は正式名称をヘリコバクター・ピロリ菌といいます。1983年にマーシャル教授らが、人の胃から、らせん状の菌を培養することに成功しました。
マーシャル教授は自ら実験台となってピロリ菌を飲み込み、その後急性胃炎を発症しました。
また他の研究者が同様の実験を行ない、慢性胃炎への進行を認め、ピロリ菌が、急性胃炎、慢性胃炎(萎縮性胃炎)の原因になることが証明されたのです。さらにピロリ菌の存在が胃潰瘍、十二指腸潰瘍の原因となることが分かりました。そして胃炎の状態が長く続きますと、そこががんの発生母地となってしまうのです。
続きへ≫