医療法人社団同友会
産業保健本部産業保健指導部 部長
医学博士 三輪 真也
特定保健指導は早期介入が鍵
特定保健指導の対象者を選定する基準は、海外のメタボリックシンドロームの基準が厳しくなってきているのを反映してか、メタボリックシンドロームの診断基準よりも厳しくなっているのが特徴です。
ウエストサイズの診断基準は同じで、男性85cm以上、女性90cm以上となっていますが、たとえそれを満たさなくても、BMIが25以上ある人はチェックが入ります。
それに加えて、血糖や脂質や血圧やタバコが追加リスクとしてカウントされます。また、空腹時血糖の基準も、110mg/dlから100mg/dlに下げられています。これは境界型糖尿病などの軽い糖代謝異常も動脈硬化のリスクなので見逃さないためです。この基準ですと、特定保健指導の対象者は、40歳から64歳までの年代では、三人に一人以上となります。
これほどの大人数を相手にするのは大変なので、よりハイリスクな人に対象を絞れば良いのではと思われるかもしれませんが、境界型糖尿病などのより早期から介入した方がより効果的であると考えられています。参考となる研究にマルメ研究があります。この研究は平均48歳の境界型糖尿病の方を対象に生活習慣病介入を行なっています。
この研究では12年後に死亡率を評価しますが、正常血糖の方に対して糖尿病の方は4倍近く死亡率が高かったのです。境界型の方は糖尿病の方ほどではありませんでしたが、2倍以上の死亡率でした。
ここで、境界型の人に対して、6年間だけ生活介入をしますと、糖にまったく問題ない人と死亡率はほとんど一緒となりました。境界型糖尿病の段階から早めに生活習慣の改善を行なうと、正常な方となんら変わらない生存率になるのです。また、メタボリックメモリーという考えもあります。今、生活習慣を改善したとしても、その効果はすぐに出るわけではなく、数年後くらいからじわじわと効果が現れてきます。
逆に、今の不摂生は、数年後以降にツケがやってくるのです。
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