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季刊誌「お元気ですか」63号インデックス

文中の肩書は取材当時のものです。

正常眼圧緑内障を早期に発見するために2

医療法人社団 同友会 医師 小島洋

医療法人社団 同友会
医師 小島洋

緑内障はいろいろな原因で発症し、その見た目(肉眼所見)も異なり、障害の程度・範囲も様々であり網膜の神経が障害を受けて視野欠損という視野の一部が欠けて見える状態を検査で指摘するには至らない初期の段階もあります。
また視野欠損は通常その範囲の拡大や病状の進行が比較的緩徐であって眼底撮影の所見に一致した異常が眼科医において確認されないこともあります。一般的に人間ドックや生活習慣病健診等で無散瞳眼底撮影装置(写真)を用いております。

緑内障 無散瞳眼底撮影装置

これは通常の状態において瞳孔を通して眼底を一瞬で撮影するものですが、簡単に撮影できる反面、撮影範囲が限られ平面的な印象を受けますので、視神経乳頭の陥凹や隆起等の微細な所見の読影に苦慮することもあります。

かたや眼科で用います細隙灯顕微鏡では薬で瞳孔を開かさせて斜めから光をあてて観察しますので眼底以外も含め広範囲に十分観察できると思われますが時間はかかりますし、しばらく瞳孔が開いたままですので眩しくてふらつくこともあります。
このような理由から人間ドックや健診の場では実用性という点で無理があります。緑内障の一番の問題点は視野欠損という視野の中に見え難い(見えない)箇所が出現するようになり、やがてその範囲が広がってゆき、放置すると最終的にはごく一部のみしか見えないような視野狭窄から失明に至る可能性があるということです。
最近の調査では日本における中途失明原因の第1位は緑内障となっております。

ところで、通称“多治見スタディ”と呼ばれております岐阜県多治見市で平成12年9月~平成13年10月にわたって実施された大規模な緑内障の疫学調査では日本人の緑内障はかつて思われていたよりも多く、その有病率は40歳代で 1.79%、70歳以上で 6.72%でありました。当施設の人間ドックでの2年間を平均しましても35歳以上で約 2%の有病率(図1,2)ですから50人に1人の割合で緑内障が存在する可能性があるということになります。

緑内障のガイドラインの補足資料にありますように多治見スタディでは40歳以上の有病率は 5%とありますが、これは40歳以上から高齢者までをあわせた数字ですので調査には高齢者が多く参加されていたので意外と高い数字になっております。全体の有病率 5%に対して、眼圧測定だけでは指摘できない正常眼圧緑内障の有病率は3.6%とありますように正常眼圧緑内障が非常に多いことが分かってきました。早期に発見すれば正常眼圧緑内障は治療による抑制がより期待しうるものです。人間ドック、健診の際には是非、眼底撮影検査をお勧めする次第です。

緑内障 2004~2005年度の有病率 図1
緑内障 受診者の年齢構成 図2

多治見スタディ…2000年9月~2001年10月の間に岐阜県多治見市在住の40歳以上の住民4000人を、完全無作為描出法によって選出し大規模調査を行った。

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