順天堂大学 糖尿病内分泌内科
三輪真也
メタボリックシンドロームの診断基準<図3>
診断基準の必須項目として内臓脂肪蓄積があります。
へその高さにおけるCT撮影で内臓脂肪を測定し、面積が100平方cm以上の場合に内臓脂肪蓄積と判断します。
しかしながら、全員のCTを撮る事は大変なので、代用としてウエスト周囲径を測定します。
ただし皆さんのよく測るウエストではなく、へその所など一番お腹が出ている所で測定します。男性で85cm、女性で90cm以上で内臓脂肪蓄積と判断する事となります。
内臓脂肪蓄積に加え、
- 血清脂質異常(中性脂肪150mg/dL以上、またはHDLコレステロール値40mg/dL未満)
- 血圧高値(最高血圧130mmHg以上、または最低血圧85mmHg以上)
- 高血糖(空腹時血糖値110mg/dL以上)
の3項目のうち2つ以上を有する場合をメタボリックシンドロームと診断します。
この基準を見ると、女性はかなり太っても良いように見えるかしれません。しかしそうではありません。女性ホルモンのおかげで内臓脂肪がつきにくいため、90cm以上となっているだけなので、更年期に入ってくると、とたんにその恩恵がなくなります。50歳以降の女性では77cm以上が内臓脂肪蓄積状態であると言っている研究者もいるくらいです。
内臓脂肪を適正にするには?
万病の源たる過剰な内臓脂肪を適量にしなければならないのですが、残念な事に薬だけでは何ともなりません。健康食品は言うまでもありません。
また新しい抗肥満薬が近い将来複数発売されますが、過度の期待は禁物です。なぜなら抗肥満薬は肥満改善アシスト薬だからです。言うならば、ペダルを漕がなければ進まない電動機付自転車と同じで、抗肥満薬をいくら飲んでいても生活習慣が改善しない事にはさしたる減量効果はないからです。
また運動する事で減量しようと考える方も多いのですが、実際は運動だけでは大して減量効果がでない場合も多く、逆に食欲が出て太ってしまう方もいらっしゃいます。
運動の目的はエネルギー消費というよりも、体の代謝を改善する事や心肺機能を強くするなども含め、体を健康に保つためなのです。ですから適度な運動習慣も大事ですが、何よりも食習慣の改善が重要です。
カロリーを気にする方が多いのですが、カロリーだけでなくバランスも大事です。よくどんな食品が良いのですか?という質問を受けますが、そんなものはありません。量とバランスが大事なのです。
生活習慣を改善する事で、あなたの血管をあなた自身で守り、健康寿命を長くしましょう。