東邦大学名誉教授
産婦人科学会専門医 医学博士
春日クリニック医師 小倉久男
婦人検査とはどのようなことをするのか、痛みはないのかなど、不安に思われる方も多くいらっしゃいます。そこで春日クリニックで婦人検査を担当する小倉久男先生に、婦人検査の内容やその重要性を伺いました。
婦人検査には子宮(子宮頚がん検査、体がん検査、子宮筋腫など)、卵巣(卵巣がん、卵巣嚢種、チョコレート嚢胞など)、乳腺(乳がん検査)および更年期に対するホルモン検査を行っておりますが、主力は子宮がん検査です。
検査方法としては、問診、内診、細胞診、経膣超音波検査、骨盤MRI検査、腫瘍マーカー検査、ホルモン検査があり、乳腺に対しては触診、マンモグラフィ検査、超音波検査があります。
問診は検査するにあたり重要な項目であり、女性にとっては卵巣ホルモンによる、子宮内膜の変化、膣分泌物、細胞の変化があるため、最終月経(閉経)が重要なポイントとなります。
その他、月経周期(月経開始から次回月経開始まで)、妊娠歴(分娩経験を含め)、既往歴(子宮筋腫、卵巣腫瘍、子宮がんなど)、現在の状態(不正出血、おりもの、子宮筋腫の有無など)を書いていただくと健診上便利です。
未婚女性に対する性交渉の有無は診察および検査をスムーズにする上で重要な事なのでお聞きしております。乳腺検査では自己触診による腫瘤の有無、更年期検査ではいろいろな臨床症状に対する問診が状態を把握する上で重要です。
内診は子宮、卵巣がお腹の中深くにあり、子宮、卵巣の状態を知るために重要な診察法です。
子宮の大きさ、硬さ、形状(奇形など)、子宮口(入口)のビランの状態、卵巣の大きさ、硬さを知り、帯下(おりもの)の状態、膣壁の腫瘍、外陰の状態(炎症、コンジロームなど)を瞬時に診察して、検査結果に役立てなくてはなりません。
内診による子宮の硬さ、圧痛などは経膣超音波検査ではわかりずらく、子宮、卵巣の炎症、子宮内膜症、子宮筋腫などの診断の重要なポイントとなりますので、内診なくしては正確な診断の把握にはなりません。
子宮がん(頚がん、体がん)の検査の中核をなすのは細胞診です。子宮頚部、特に子宮の入口付近は神経がなく、細胞を擦過して取っても痛みがないのはこのためです。
子宮の入口は扁平上皮(膣粘膜、皮膚と同じ細胞)と円柱上皮(子宮内膜と同じ細胞)との境界部があり、その部分が子宮頚がんの発生しやすい場所です。
自己採取法といって、膣内に落下している細胞を取る方法がありますが、正確をきするためには、綿棒やブラシなどで子宮の入口を擦過して取る方法が良いようです。
子宮体がんの検査は経膣超音波で子宮膜の状態や子宮筋腫の有無などをみて検査を行いますが、細かい検査器具を子宮の中に入れて検査をしますので、挿入時に少しつれたり、軽い痛みを感じる場合があります。
また、高齢の方や出産をされていない方では検査器具が子宮の中に入らない場合があり、その時は検査を中止する事があります。
細胞診の結果にはクラスⅠからⅤまであります(表1)。クラスⅠ、Ⅱは陰性ですが、クラスⅢa、Ⅲbになりますと異型細胞と呼ばれ、一種の前がん状態で精密検査が必要となります。クラスⅣは初期がん、クラスⅤは浸潤がんとなり、治療対象となります。
| クラスI |
正常細胞 |
| クラスII |
炎症性細胞 |
| クラスIII a |
軽度異型細胞 |
| クラスIII b |
高度異型細胞 |
| クラスIV |
初期がん細胞 |
| クラスV |
浸潤がん細胞 |