メタボリックシンドローム対策|人間ドックなら東京の同友会 春日クリニック

季刊誌「お元気ですか」60号インデックス

文中の肩書は取材当時のものです。

メタボリックシンドローム対策

順天堂大学医学部 総合診療科 講師 福田洋

順天堂大学医学部
総合診療科 講師 福田 洋

今、定期健康診断での有所見率は、およそ5割という状態で、なかでも糖尿病は日本国内で1600万人もの患者がいるといわれています。
糖尿病を含めた生活習慣病の治療には大変お金がかかり、新しく出たばかりの薬は高額ですし、インスリンを使った治療などを行なうと一気に一万円を越えてきます。
さらに状態が悪くなり、入院をして、色々な検査をしながら食事療法ということになりますと、二十万円以上の治療費になることもあります。
糖尿病患者の治療費は年間一兆円にのぼり、増大する医療費を抑えるためにも、予防医療の重要性が言われています。かつては「予防医学」という言葉が使われてきましたが、最近は学問的な意味合いより、もっと実質的な効果が求められてきており、「予防医療」という言葉が積極的に使われるようになってきたと感じています。

予防医療の有効性は最近になってエビデンスが出されるようになり、たとえば98年のイギリスの研究では、糖尿病において血圧をきちんとコントロールできれば、脳梗塞が四割減り、コレステロールを管理すれば六割も減るという結果が出されました。
これは、糖尿病だけ気をつければ良いのではなく、高血圧や高脂血症など、生活習慣病全体をまとめて見なければならないということで、今のメタボリックシンドロームの考え方に近いものだと思います。

健診にウエストサイズ計測の動きが

今、マスコミなどでしきりにメタボリックシンドロームが騒がれ、この言葉を耳にしない日はないほどです。
なぜこれほどまで騒がれているのかといいますと、その仕組みが解明されてきたからです。一番分かりやすいものはお腹にたまる内臓脂肪で、その根本にある原因は食べすぎ、飲みすぎで、内臓脂肪がどんどんたまっていきます。
すると脂肪を合成する材料も血液中に流れ出ていき、高脂血症を引き起こします。また最近の研究から、この内臓脂肪があたかも大きな内分泌臓器のように働き、糖尿病を引き起こす物質や、血圧を上昇させる物質、血管を硬くする物質が直接出ているということが分かりました。これによって動脈硬化を引き起こし、心筋梗塞や脳梗塞の原因になります。

メタボリックシンドロームは何に気をつければよいのかといいますと、ウエストサイズです。今、多くの健診機関が、健診の新しい項目として、ウエストサイズの測定を取り入れようかと動き始めています。基準となるのは男性で85㎝、女性で90㎝ですが、女性の場合、一般的なウエストサイズではなく、もっと下の、おへその下辺りのサイズを測ります。

一番気になるところは、生活習慣を改善すれば、本当に良くなるのかという事でしょう。
昔から、生活習慣病は遺伝子に関係しているのではないかと言われてきました。親が高血圧であれば、その子供も高血圧になる確率が高いのではないか…。
確かにそのとおりなのですが、昔は遺伝子と生活習慣が5:5くらいの割合であると言われましたが、今では遺伝3に対し、生活習慣が7くらいの割合であるということが分ってきています。どんなに頑張っても痩せないという人は、遺伝子が影響している可能性もありますので、調べてみても良いと思いますが、やはり生活習慣の影響の方が多いのです。

改善には自己決定の意識が大切

生活習慣がメタボリックシンドロームに大きく影響するということを説明しましたが、では、生活習慣の乱れは、どのような所から来るものなのでしょうか。

私が診た患者さんから例をあげてみます。
20代男性の方で、インスリンを常時携帯しており、血糖値も普段は100前後と、よくコントロールされています。ところが、時々血糖値が200~300と、大きく乱れることがあります。
この時、何が起きているかというと、遅くまでの残業が続いていたり、出張があったりとか、そのような答えが返ってきました。

もう一つ、50代の男性の方で、リストラされてしまったときに、血糖値が非常に悪くなりました。
一番ひどい時には外来にも来られなくなるほどでしたが、ある日、奥様と一緒に来られ、再就職が決まったという報告を受けました。それでまた良い状態に戻りました。

これらの例のように、メタボリックシンドロームは残業による生活の乱れや、心配事などのメンタルな部分、出張などの環境の変化などが大きく影響することがあるのです。
医師はほとんど何も出来ません。自分自身で病気に対する意識をしっかりと持つ事が大切です。健診結果の通知票をすぐに捨ててしまったり、結果をよく見ず、理解しないまま引き出しの奥にしまったりしていないでしょうか。
診断結果を自分で理解し、何か異常があった時には、相談できる場所があること。そういった自己決定の意識が大変重要です。

内臓脂肪

自己管理や自己責任が強調される今、その手助けになるものとして、春日クリニックのダイエットサポートプランがあります。
40代男性の例で、体重が96Kgあったものが、3ヶ月間、ウォーキングと夕食後の間食を止めたことで、4Kgのダイエットに成功しました。わずか4Kgと思われるかもしれませんが、111cm2あった内臓脂肪は67cm2に減少しました。

僅かなダイエットでも、内臓脂肪は驚くほど減るのです。このダイエットサポートプランは、目標やダイエットプランを自分自身で決定し、そして医師や管理栄養師、運動指導士のアドバイスを受けながら、目標実現に向かって3ヶ月間取り組むというものです。また、結果だけではなく、自分自身で目標を決め、実行する能力を身につけるという目的もあります。医師と患者との関係が希薄になっている今、こういったサポートを利用するのも一つの方法ではないでしょうか。

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