メンタルヘルス不全者への対応~産業カウンセラーの立場から~|人間ドックなら東京の同友会 春日クリニック

季刊誌「お元気ですか」58号インデックス

文中の肩書は取材当時のものです。

メンタルヘルス不全者への対応~産業カウンセラーの立場から~

春日クリニック メンタルヘルスカウンセラー EAPコンサルタント 大野美和

春日クリニック
メンタルヘルスカウンセラー
EAPコンサルタント 大野美和

メンタルヘルス不全者といっても、うつ病、統合失調症、不安障害など様々なケースがあり症状や治療法も異なります。また精神疾患というデリケートな問題ゆえ、症状がありながら受診していない、本人が問題に気づいていない事もありえます。
職場において管理監督者が精神疾患の知識を持つ事は大切ですが、「君はうつ病だから病院に行ったほうがいいよ」と言ってしまうと、関係に悪影響を及ぼしかねません。よって職場におけるメンタルヘルスでは、職場において生じている問題、すなわち仕事のどの点において困っているのか、周囲の人や業務にどのような影響を与えているのか、勤怠やミスの有無など具体的な事例に注意することが大切です。

具体的な取り組み方としては、相手をよく観察すること。そして、メモをとること。声かけ。フォローアップです。
まず、相手に何かあったという、サインに気付くことが大切です。しかし、普段から相手のことを良く見て、知っていなければ、変わったかどうかなど分りません。

たとえば、入社以来、壁に向かって独り言を喋る社員がいたとします。
他には何も問題が無く、仕事もきちんとこなす。このような場合は特に心配はいりません。
問題なのは、普段から明るく喋ったり、挨拶したりしていた人が、急に塞ぎこむようになった場合です。このような、個人の状態の変化に注目していただきたいのです。それに気が付くためには、普段からよく観察をしていなければなりません。

それから仕事上のミスや勤怠の状態は、必ずメモをとるようにしてください。日付と曜日、そして起きた問題点、たとえば「遅刻」などです。
なぜメモが必要になるかと言いますと、たとえば、最近様子がおかしいと感じた相手に「最近少し変じゃないか」と聞くだけでは、「そんなことありません」という返事で会話が終わってしまいます。
遅刻やミスの回数をメモしておけば、「3回遅刻して、お客さんからのクレームが2件あったようだね、どうしたの」という話の仕方ができます。

また、このメモがメンタルヘルス管理の目安にもなります。
このようなメモで問題点を洗い出してみると、意外と自分の思い過ごしだったとか、客観的に判断することができます。
朝から晩まで注意をし、メモをとることは不可能だと思いますので、たとえば出社時や退社時、そしてお昼休み後など、時間を決めて実施すれば、さほど負担にはならないのではないでしょうか。

ここで、ちょっと危ないと思われるサインの例をご紹介します。
ぼーっとしている時間が増えた。机の上に書類が溜まった状態になる。話のまとまりが悪くなったり言葉が途切れたりする・・・。一見、こういう人はよくいる、とくに問題ないのでは、と思われるかもしれませんが、こういう人にはまず「最近どうしたの。何かあったら言ってね」と、声をかけてください。

そのときにも注意していただきたい点があります。「最近調子はどう?何かあったら相談してね」と言われても、普段からあまり会話をしない上司相手に、いきなり相談なんてできるでしょうか。「なにかあったら声をかけてね」と、日常的に声かけを行うことが必要になるのです。
さらに症状が進み、要注意と思われるサインの例です。遅刻、早退、欠勤が重なる。仕事の効率が目立って悪い。理由もないのに退職を希望する。物忘れが激しい。身だしなみや態度がだらしなくなるなどです。このような人の場合には、きちんと時間を取って対応してください。

要注意と思われる人から話を聞く際、お酒の席は避けてください。
ここまでパフォーマンスが落ちている人は、かなり疲れていますし、睡眠障害も出ている可能性もあります。本人は断りたくても断れないという状況が多いので、無理に付き合わせると、余計に悪化してしまうことになります。
また、お酒が入りますと、部下の話を聞くつもりが、上司の方が話し込んでしまうこともありますので、就業時間内に時間を作り、対応するようにしてください。

話を聞く際には、穏やかな表情で視線を合せ、相槌を打つ。相手の話の要点を、時折繰り返します。
また、決して励ましてはいけません。すでに自分自身で励ましきっている状態です。そして本人の考えや決断を求めない。判断力が落ちていますから、本人にとっては大変な負担になります。

中間管理職の人や、若い人もそうですが、自分のストレスをいかにコントロールするか、そういった能力も必要です。鬱病の人を保護をするばかりではなく、いかにストレスに強くなるか。今後、これは働く方々の義務かと思います。自分の体をコントロールする、コミュニケーション能力を上げる、この二つはとても大事ですので、これをキーワードに、今後の予防策を考えていただきたいと思います。

メンタルヘルスカウンセリングルーム

春日クリニックでは、今回ご登場いただいた大野先生がカウンセラーを務めるメンタルヘルスカウンセリングルームを開設しています。
是非お気軽にご活用ください。

  • 開設場所:春日クリニック本館6F
  • 日  時:毎週月曜日 14:00~18:00
  • お問い合わせは 03-3813-0080(要予約)
  • 大野 美和(産業カウンセラー)
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