春日クリニック 産業医外来担当医
労働衛生コンサルタント
日本医師会認定産業医 下村洋一
春日クリニックでは、今年より産業医外来を開設いたしました。
社員の健康管理に関する法が厳しくなった今、企業における産業医の重要性と、そして社員の健康管理の考え方、職場環境の問題点を改善するにはどうしたらよいか。春日クリニック担当医の下村洋一先生に伺いました。
今、社員の健康管理が問われる
従来、嘱託産業医というものは、開業医の片手間になっていた部分があります。
大きな会社には、社員という形で専属の産業医を雇ったり、中には診療所を持っている会社もあります。
ところが最近、そういった大きな会社も分社化が進められ、小規模な事業所が増えてきています。
その結果、会社で専門の医師を雇って健康管理を行なうといったことが非常に少なくなってきているのが現状です。
逆に、健康管理に関する法律は厳しくなり、安全配慮義務、過労死問題、そして鬱病の社員のメンタルケアや、最悪のケースとして自殺まで、社員の健康管理について企業が背負わなければならない責任は重くなる一方です。
たとえば、就労中の重大な事故や、会社のイメージを失墜させるようなミスを起こすのは、社員の健康状態やメンタルヘルスが問題となっていることも充分考えられるのです。
とくに100人、200人規模の中小企業が一番お困りではないでしょうか。
常勤で産業医を雇うわけにもいきませんし、何も対策を打たないわけにもいきません。これは企業の存亡にもかかわることで、人事部や労務部がしっかりしなければならないのですが、専門の知識を持った産業医を確保することも必須となるでしょう。
私の所へ来るのは、企業の人事部や総務部の方で、鬱病の社員にどう対応すれば良いかなど、メンタルヘルスについての相談が多いです。また、心臓病や脳卒中後の復職についての相談もあります。その他にも過重労働の対策や、適切な健康診断をデザインするといったこともあります。
健康管理は「入社から定年まで」
今までの健康管理は「社員が病気にかかったのでどう対策を取るか」など、事後処理型の健康管理でした。事後処理も重要なことですが、それだけでは社員の健康を維持することには繋がりません。これからは、社員の健康をどうサポートしていくか、入社から定年退職まで、元気に働ける環境作りということを考えていく必要があるのです。
とくに今は、派遣社員やアルバイトの雇用がどんどん増えています。
正社員が2人でアルバイトが200人、そんな会社や店が出来ています。そういった人達は、きちんと健康診断を受けているでしょうか。
万一病気になった場合にはどうするのでしょうか。さらに、女性が男性と同等に働く時代です。
子供を産まず、独身で働き続け、ストレスにまみれて酒を飲み、たばこを吸う。そんなライフスタイルは病気になりやすく、乳がんや肺がんの危険も高くなります。このような現状で、事後処理型の健康管理を続けていては、企業の発展は望めません。
健康管理にも戦略が必要
自分自身の普段の業務はうまくこなせても、健康管理となると、漠然としていてよく分らない。
結果、医者任せになったり、運頼みになったり、これでは健康管理とは呼べませえん。
人間は、歳を重ねるごとに経験を積み、立派になっていくものですが、身体は確実に老いていくものです。
健康管理は自己責任とよく言いますが、優秀な社員が病気になったとき、困るのは本人だけではありません。
会社を運営することと同じように、社員の健康を維持することにも戦略的プランが必要なのです。
専属産業医15年の経験を糧に、たとえ担当の産業医が変わったり、人事部や総務部の担当が変わったりしても、しっかりとした健康管理のシステムだけは会社に残る。そういったことを、経営者や人事部長の方と一緒に、考えていきたいと思っています。
産業医でお困りの会社からの相談をお待ちしています。