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季刊誌「お元気ですか」56号インデックス

文中の肩書は取材当時のものです。

救命の「ABCD」~緊急時の心肺蘇生法~

春日クリニックⅡ副所長 池尻 真康

春日クリニックⅡ副所長 池尻 真康

道を歩いていて、職場の廊下で、突然人が倒れていたら、あなたはどうしますか。
多くの人は慌ててしまい、パニックになってしまうことでしょう。
心臓に異常を来たし、ほんの僅かな時間で死に至る心臓突然死。年間で4万人もの命が奪われていると言われています。

中でも多いのは、心臓が痙攣を起こしてしまう心室細動で、つい先ほどまで元気だった人や、若い人でも起こり得るものです。
心臓は通常、規則正しく収縮をし、血液を送り出していますが、心臓が痙攣を起こしてしまうと、その機能を果たせなくなってしまうのです。

アメリカの心臓協会が、心臓の痙攣を取り除く除細動までの時間と、現場での救命率をグラフにしたところ、1分経過するごとに救命率は10%も下がり、10分を超えてしまうと助かる可能性はほとんどなくなってしまうことが分かりました。1分1秒でも早く除細動を行なうことが何よりも重要です。

除細動までの時間と救命率の関係

これまで、救命処置は医療従事者などの限られた人しか行なうことが許されていませんでした。しかし、最近になって、いち早く救命処置を施すことの重要性が見直され、誰もが自動体外式除細動器「AED」を使った救命処置を行なえるようになりました。
公共の場、例えば東京ドームや羽田空港などをはじめ、AEDの普及が始まってきています。
AEDはコンパクトで重さも3kg程度で、簡単に持ち運ぶことが出来ます。しかし、このAEDが広く普及したとしても、いざという時に、実際に使うことが出来なければ意味がありません。

救命の「ABCD」というものをご存知でしょうか。これは、救命の際に必要な手順を順番にあらわしたものです。自動体外式除細動器「AED」も、この手順の中に含まれており、順番にご説明いたします。

A=Airway
気道の確保です。意識を失っていたり、心臓が止まっている場合、舌根沈下といって、舌の付け根が下に落ちて気道を塞いでしまいますので、頭部を後屈させ、顎を上に向けるようにして気道を開けてやる必要があります。
B=Breathing
呼吸の確認です。
確認の方法は、まず胸が上下に動いているかを目で確認。呼吸音が聞こえるかを耳で確認。そして鼻や口からの空気の流れが感じられるか、顔を近づけ、肌で感じて確認をします。
これら3種類の確認を10秒以内で行ない、もし呼吸が止まっているならば人工呼吸をします。
直接マウス・トゥ・マウスをすることは、万一患者が感染症を持っていた場合に、自分に感染してしまう恐れがありますので、口にはめ込んで使用する感染防護器具を使って人工呼吸を行なうのが望ましいです。
C=Circulation
循環の確認をします。
人工呼吸をした後、息を吹き返したか、咳をしたか、あるいは手足を動かすかがポイントです。
頚動脈に触れるという確認法もあるのですが、意識を失って倒れている人の場合は頚動脈が触れにくいことが多いです。
もし循環が無いというときには、これも10秒以内に1分間に100回のペースで心臓マッサージを始めてください。
圧迫する場所は、胸骨の下半分から3分の1程度の場所です。肘を伸ばして、自分の体重がまっすぐ、胸骨に対して垂直にかかるようにします。
また、心臓マッサージと人工呼吸を両方行なう場合には、その割合は心臓マッサージを15回に対して、人工呼吸を2回行なうようにしてください。
D=Defibrillation
AEDを使用した除細動です。
心臓が痙攣を起こしている状態に対して、電気ショックを与えて、通常の収縮運動に戻します。
電源を入れ、付属しているパッドを、患者の心臓左下のわき腹と、右胸の上、二箇所に貼り付けるのですが、貼り付ける位置はAEDに記載してあります。
そして自動的に解析が始まりますので、その際には患者に触れないようにします。
電気ショックが必要な場合には、その指示が出ますので、自分や周囲の人間が感電しないよう、患者から体を離したことを確認した後にボタンを押します。
これらの操作に関しては、AEDの音声メッセージに従って操作すれば、一般の人にも扱えるようになっております。

実際に倒れている人を見かけた場合は、まず街中の場合には、車などの交通に注意し、安全を確保してください。
そして「大丈夫ですか」と声をかけ、意識があるかを確認してください。そして反応が無い場合、自分ひとりの力で対処するのはとても難しいことです。焦らずに、人の助けを呼んでください。そして119番通報やAEDの手配をお願いしますと頼んでください。
春日クリニックではAEDを導入し、基本的な救命処置ができるようスモールグループでのトレーニングをしていきます。これからより多くの施設にAEDが配備され、心臓突然死で亡くなられる人を少しでも減らせればと願っております。

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