
(作家)※敬称略
僕は原稿を書く仕事が多いものですから、ずっと座りっぱなしかと思われるかもしれませんね。ところが、意外と身体を動かす仕事が多いんですよ。
今、百霊峰巡礼という仕事をしています。日本の霊山と呼ばれる山を毎月一つずつ、全部で百か所を巡って、カメラマンと一緒に登ります。そして原稿を書くという連載の仕事なんですが、ほとんど肉体労働ですよ。百か所の山を巡るとなると、足掛け9年にもなります。これはもう、私のライフワークですね。
登山はすごく汗をかきます。これ以上の健康法は無いと思いますよ。つい先日も、白山と越知山という、二つの山に連続して登ってきたのですが、それなりに厳しい山で大変でした。とくに白山を登った時には山の上半分が雪で、おまけに帰りは雨に降られました。カッパを着て歩くので、すごく暑い。まるでウエイトトレーニングをしているように汗だくになりました。健康的でしょ。
もう一つの健康法といえば、やっぱり食事ですね。別の連載の仕事で、あちこちの農村地帯を取材で歩いているのですが、すると、どこへ行っても歓迎されて、ご馳走を出してくれるんです。貧乏性なのか、いけないと思いつつ、出されたものはつい全部たいらげてしまいます。二日前に、400gの名物豚肉料理を出されましたが、うまいので全部食べてしまいました。かなりの高カロリーですよ。これはいけませんね。
だから、普段の食生活は質素なものにしています。外ではどうしても豪快な食事をしてしまいますが、そのことを女房がちゃんと分かってくれているんですね。家では雑穀米を食べたり、野菜中心にしたり、油物や脂肪分の多いものなどは控えるようにしています。おかげで、ちょっと痩せたくらいですよ。少しでも体重が落ちれば、登山もその分楽になります。もし、私一人きりだったら、たちまち身体を壊してしまうでしょうね。
やっぱり、若い頃のように、何でも好きなものを、というわけにはいかないようです。だから、人間ドックもちゃんと受診するようにしています。結果は歳なりに出てしまいまして、血圧が高めだった時もありました。それをきっかけに、今では塩分に気をつけています。たとえばサラダを食べる時には何もかけない。刺身を食べるときには醤油をつけずに、ちょっとわさびをきかせるだけ。人には驚かれますが、野菜や魚本来が持つ繊細なうまさが楽しめますよ。おかげで今では血圧もだいぶ良くなりました。こうやって、自分自身で気をつけていかないといけませんよね。
(インタビュアー 酒井 悦子)