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季刊誌「お元気ですか」56号インデックス

文中の肩書は取材当時のものです。

アトピー性皮膚炎についての考え方

順天堂大学皮膚科 光石 幸市

順天堂大学皮膚科 光石 幸市

アトピー性皮膚炎は特徴的な経過を取りながら、湿疹を慢性、再発性に出現を繰り返す皮膚炎です。
もともとアトピー疾患とは、家族性に発症し(遺伝的な背景を持った)、環境によって良くなったり悪くなったりする気管支喘息や花粉症をさしていました。
後に、乳幼児から湿疹を繰り返す皮膚炎群がこれらアトピー疾患の家族歴や合併が多いことからそれらをアトピー性皮膚炎と呼ぶようになりました。
名づけの経緯から分かるように、その背景にはアレルギー体質の存在が認められています。しかしながら、皮膚に湿疹を発症する根本的な原因まではまだ解明されていません。
現在のところでは、アトピー性皮膚炎の発症には、アレルギー体質+弱い肌質があると説明するのがわかりやすいと思います。

ですから、アトピー性皮膚炎の原因が全て何かに対するアレルギーと考えて、神経質なまでにその対策に力を注いでしまうのは、病因論的にも無理があると言えます。
特に乳幼児では、アトピー性皮膚炎の原因が食べ物に対するアレルギーであるという考えが未だに根強く、血液検査の結果、ある特定の食べ物に対するアレルギーの数値が少し高いだけで漫然と除去食が行われていますが、これは間違った対応といわざるをえません。
専門家としっかり相談をしてすすめていく事が必要です。

アトピー性皮膚炎はコントロール可能

いちど起きてしまった湿疹反応を沈静化させる、すなわち治療の中心はステロイド外用剤です。
1980年代後半から1990年代始めの間違ったステロイド報道の影響からか、ステロイド外用剤を拒否する患者さんが未だに少なからずいるのは困った事だと考えています。

ステロイド外用剤は、皮膚から塗る事で全身性に影響をほとんど与えることなく局所の炎症を抑える事が出来ます。なおかつ、強さに応じて5種類ものランクを使い分ける事が出来るため、年齢や湿疹の程度により調整が可能です。
専門家の指導のもとで使用すれば多くのアトピー性皮膚炎はコントロール可能なのです。

完全な治癒ではなく、うまい付き合いかたを

アトピー性皮膚炎の肌の弱さを代表する状態にアトピックドライスキンと呼ばれる乾燥肌があります。
これに対しては保湿剤を積極的に使う事が必要になります。
ステロイド用外剤とうまく組み合わせていくことがアトピー性皮膚炎の治療の原則であると言えるでしょう。

アトピー性皮膚炎治療のゴールは何が何でも完全な治癒を求めるのではなく、

  • ちょっと見た目にはアトピー性皮膚炎と分からない。
  • 昼間の生活では自分がアトピーである事を忘れている時間が多い。
  • 学校や職場で支障をきたすことがない。

これらの状態を寛解状態と呼びますが、いずれにしろ、うまく付き合っていくことを心がけてください。

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