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季刊誌「お元気ですか」2009年10月号インデックス

文中の肩書は取材当時のものです。

メタボリックシンドロームと糖尿病の関係 その2

東京女子医科大学脳神経外科教授 東京女子医科大学付属病院副院長 久保 長生

順天堂大学内科学・代謝内分泌学
綿田 裕孝

糖尿病とメタボリックシンドロームの関係

 メタボリックシンドロームではインスリンの効果が減弱しています。従って、血糖値が上昇し、糖尿病になりやすくなります。糖尿病で血糖のコントロールが悪いと、細かい血管に障害が起こり、その結果、眼の網膜の障害、腎臓の障害、神経の障害が出現してきます。さらに、糖尿病が出現すると血液中の糖分が細胞内に入らず、尿からブドウ糖が出て行ってしまうため、体重は痩せてきます。メタボリックシンドロームと診断されても、特に生活慣習を変えずに、勝手に体重が減ってきた場合は、逆に要注意です。ただし、メタボリックシンドロームの人すべてが糖尿病になるわけではありません。糖尿病になりやすいかどうかは、インスリンの効果が減弱したときに、それをカバーするべくインスリンを分泌することができるかどうかに依存しています。この能力はおそらくは遺伝的に決まっていると考えられています。従って、親族に糖尿病の方がいる場合は、メタボリックシンドロームになることで、糖尿病になりやすくなりますので、特に注意が必要です。メタボリックシンドロームに糖尿病を合併すると、細かい血管障害という糖尿病に特徴的な病気が出現する可能性があります。また、心筋梗塞や脳梗塞の危険度も格段に増加します。

メタボリックシンドロームに対する対策

 総務省の調査によると、がん、脳血管疾患、心臓病、糖尿病、高血圧の五つの生活習慣病による死亡者数が増加していこのような状況を受けて、昨年4月から40歳以上の国民全員を対象にメタボリック症候群を同定するための検診を行い、メタボリックシンドロームと診断されれば、生活習慣を変えるような指導を行うことを盛り込んだ制度がはじまりました。メタボリックシンドロームとは過栄養状態による脂肪蓄積がその病態の上流にあり、それによってさまざま動脈硬化の危険因子が出現するわけですから、食事療法や運動療法を行い、過栄養状態を打破することが必要です。

 理想の運動療法は、有酸素運動歩行、サイクリング、ラジオ体操などです。街全体が「ジム」と考え、日常生活に運動を取り入れていきましょう。息切れせず、汗ばむくらいの運動で「きつい」と感じない程度で1回30~60分、週3回以上行いましょう。万歩計をつけることも運動の継続の励みとなります。食事療法においては、規則正しく、ゆっくりよくかんで、腹8分目を維持しましょう。食事療法においては、特に油分を控えることが大切です。ときに主婦の方などで、子供がいるので、油分を控えられないというかたも居られます。従って、子供だからといって、油分の多い食事を日常生活で多く摂取させるような習慣をつけると、大人になってからも油分を好むようになり、肥満の助長につながります。従って、子供と一緒に食事をするからこそ油分を控えた食事を習慣付けさせることが重要です。

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