東京女子医科大学脳神経外科教授
東京女子医科大学付属病院副院長
久保 長生
生活習慣病に関わる諸要因
高脂血症
血中のLDLが増加すると一部が酸化されて変性LDLとなり、血管内皮細胞を傷害する。
高血圧
血管透過性が亢進して血漿成分が内膜に浸透しやすい環境となる。
喫煙
ニコチンや一酸化炭素が内皮細胞を傷害する。
糖尿病
細胞内グルコースは、ある酵素の働きで、ソルビトールを経てフルクトースへと代謝される。そして脂質代謝の異常から高脂血症を招き、動脈の内膜に脂質が蓄積して粥状硬化をもたらす。またソルビートルの増加による血管細胞の変性や酵素非依存性糖添加による血管基底膜の変化も動脈硬化への一因となる。
次に、脳に関する病気についてお話します。脳血管障害、すなわち脳卒中ですが、これは①血管破綻(脳出血、クモ膜下出血)②血管閉塞(一過性脳虚血発作、ラクナ梗塞、アテローム血栓性梗塞、心原性脳塞栓症)に分けられます。
血管破綻とは、脳神経学科の分野です。しかし近年、高血圧に関する啓蒙と指導によって、脳出血の数は減少しています。また、クモ膜下出血も、脳ドックが普及し、未破裂能動脈瘤の発見で、その治療は予防的になされています(開頭クリッピング、血管内手術<コイル閉塞>)。
そして血管閉塞については、脳外科と神経内科の協力(脳卒中センターの普及)により、予防から超早期治療まで、その治療方法が図式されつつ
あります。これらの治療が日本の何処でも均一に受けられ、治療成績も平均化することが安心で安全な医療の確立と考えます。
「活脳」から「勝つ脳」へ
生活習慣病は文明社会が生み出した病気ではありますが、文明社会はこれを超えて寿命を延ばす硬化を果たしていることも事実です。現代社会では生活の乱れによる死亡は無視できず、私たちは絶えず不慮の死にも直面しているのです。命の尊さを知りつつ、これらの病気にならないよう、日ごろから「勝つ脳」へ、自分自身で脳を生かしていきたいものです。普段の生活の中でも、健康のありがたさを改めて考えてみませんか。