品川駅前メンタルクリニック
院長 有馬 秀晃
仕事に関する強いストレス
我が国において、働く人が感じる職場のストレスは年々増えており、社会問題としてマスメディアに頻繁に取り上げられています。実際、厚生労働省が行なう5年ごとのアンケート調査によると、「仕事に関する強いストレスを感じる」と回答した労働者は年々増え続け、平成14年現在では男女ともに6割に達します(図1)。

一方、ストレスに長く曝された結果、精神的に不調を来たし働けなくなる者も多くなっています。財団法人社会経済生産性本部が今年4月に行なったアンケート調査によれば、「人を育て、仕事の意味を考える余裕がない」「職場でのつながりを感じにくい」「仕事の全体像や意味を考える余裕が職場になくなってきている」会社ほど、心の病の増加を訴える傾向が強いことがわかりました。社会情勢と働く人の心の健康は、きわめて密接に関係しているものです。
ストレスの内容
それでは、働く人が職場で感じているストレスの内容は具体的にはどのようなものでしょうか。平成14年に厚生労働省が行なったアンケート調査によると、男性では「会社の将来」「仕事の量」「仕事の質」がストレスの内容として多く、女性では「職場の人間関係」が圧倒的に多く「仕事の量」がそれに次ぐという結果が出ました(図2)。

このことから目に浮かぶのは、「経費削減のために少ない労働力で多くの仕事をこなし、さらに質も要求される一方で、職場には人を育てたり仕事の意味を教えたりする余裕がないため、仕事のストレスやプレッシャーがますます大きくなる」といった厳しい姿です。
こうした厳しい環境により労働者が心の病にかかるため、また職場が人手不足になるという悪循環もよく見受けられます。
自殺者の推移
社会問題として頻繁に取り上げられるものの一つに、自殺者の増加があります。警察庁の調べによれば、自殺者は平成10年に初めて年間3万人を超えてから、それが10年連続で続いており、平成19年では3万3093人でした(図3)。これは交通事故死者数の6倍に及ぶ数字になります。

また、この3万3093人のなかには、仕事のストレスから心の病に罹り自殺に至ったケースが少なからず含まれており、実際、うつ病に関して言えば、罹った人のうち60%が自殺を真剣に考え、15%は自殺を実際に企てるということがわかっています。
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